乱用される血圧降下剤

高血圧の基準値が下げられた
前項で血圧は年令+90でよいと書きました。しかし現代日本の医療界は、このような自然まかせは良くないとして、別の基準値を設けています。高血圧の基準値は2000年に、それまでの160mmHgから、140mmHgに引き下げられました。その結果新たに数百万人の人が高血圧とされました。今は130mmHgを目標にするとされています。

なぜ基準値は下げられたのでしょうか。それは血圧を下げる薬が出来たからです。

「医は仁術」・・・・かも知れません。しかし製薬会社は違います。製薬会社は完全に資本主義に組み込まれた営利企業であり、算術です。血圧を下げる薬が出来れば、それをどんどん売りたいという欲望と競争が多くの製薬会社を動かします。たくさん売るためには、基準値を下げて高血圧患者を増やせばよいわけで、日本だけでなく世界の医療は国際製薬大資本の支配下にありますから、それは簡単にできるのです。そして実際にそうなり、高血圧患者はあっという間に激増しました。


上のグラフのように、現在の目標値である130以上を高血圧とすると、ほとんどの人が高血圧になってしまいます。自然に年令+90くらいになるのですから、40才以上の大半が高血圧患者にされてしまうわけです。このうち実際に通院治療を受けている人は2014年で1010万人と厚労省は発表しています。

どうしてこんな馬鹿げたことになるのか。それは血圧を下げる薬が出来たからです。もし、血圧を下げる有効な薬がなければ、医者たちは高血圧の基準値を引き下げることに興味はなかったでしょう。患者を増やしても何の得にもならないからです。しかし薬ができると医療側は患者を増やすようになります。私たちの社会に「薬が出来ると病気が増える」という資本の論理が組み込まれているのです。

大量に処方される血圧降下剤
血圧が、医療者が決めた基準値より高い人は、「高血圧」と診断されて血圧降下剤が処方されます。「一度飲み始めたら一生飲み続けなさい」と言われて、人々はせっせとそれを服用しています。

もちろん高血圧によって、めまいがするとか、頭がズキズキするとかの自覚症状がある場合や、血管が破れるリスクが明らかに高い場合は、緊急に薬で血圧を下げる必要があるでしょうし、それが出来る薬が開発されてきたことは医療の進歩です。しかし薬とは、緊急の場合に短期間だけ服用すべきものであり、これを毎日飲みなさい、ずっと一生飲み続けなさいというやり方は、よほどの特殊な場合を除いて、自然の生命体に対する考え方として、原理的に間違っています。
大量の血圧降下剤で、日本人の血圧は無理矢理140mmHg以下に下げられています。しかし冒頭に述べたように、「血圧は必要」なのです。必要な血圧をむやみに下げたら何が起こるか。脳に血が行かなくなり、脳梗塞と認知症が増えるはずです。そして実際にそうなっています。

血圧降下剤は何をする薬か
血圧降下剤には次の3種があります。

A.脳からの指令を無効にする薬
B.血管をブヨブヨにする薬
C.体の水分を減らす薬


Aは、せっかく脳から「血圧を上げて血液を届けろ」という指令が出ているのに、それが届かせなくする薬です。指令が来ないので心臓は何もしなくなり、したがって血圧は下がります。
Bは、血管壁の弾力を失わせる薬です。ホースで水をまくとき、ホースの先を指でギュッとつまむと水が勢いよく出て、遠くまで届きます。それはホースに弾力があるからです。ホースに弾力がなければ圧力は上がりません。血管壁をブヨブヨにすると、血圧を上げようとしても上がらなくなるのです。
Cは利尿剤です。水分が尿になって出て行きますから、血管中の血液量そのものが減ります。したがって圧力も下がります。しかし出て行くのは水分だけですから、残った血液は煮詰まってドロドロになり、血管が詰まりやすくなります。

血圧降下剤で脳梗塞になる
血圧降下剤とはこういうものです。どれも「そんなことしていいの?」と思わせるものばかりです。そもそも、血液を届けるために血圧を上げる必要があって、せっかく自律神経が巧みに働いて血圧を上げているのに、その条件を変えぬまま血圧だけ下げてしまっては、血液が届かなくなるだけです。
血圧降下剤の医者用の注意書きには副作用が列挙されています。「めまい、立ちくらみ、しびれ、貧血、不整脈、心房細動」などとあります。そして筆頭に「脳梗塞」と書いてあります。
これらは全て、血のめぐりが悪くなった結果です。血圧降下剤は、血圧を下げて血流を減らす薬ですから、そうなるのは当然です。これらは副作用ではなく、主作用なのです。脳に血が届かなくなると何が起こるのか。脳梗塞と認知症です。実際、血圧降下剤を飲んでいて脳梗塞を起こす人は、飲んでいない人の2倍だというデータもあるそうです。

ノバルティスファーマ社事件
2014年1月、厚労省はスイスに本社を置くノバルティスファーマ社を刑事告発しました。日本で行われた血圧降下剤の臨床試験の、データをねつ造して、自社の薬だけ特別良いように見せかけて販売した容疑です。
血圧降下剤は脳梗塞を引き起こしますが、同社の製品は、脳梗塞を起こす確率が他社よりも少し小さいということで、そのデータを信頼した医療者がその製品を指定することで、同社の血圧降下剤は爆発的に売れました。しかしそのデータがねつ造で、脳梗塞の確率 は他社と何ら変わらなかったのです。何ともバカげた話ですが、こういう不正行為もあって、前掲のグラフのように、血圧降下剤の売上げは急拡大してきたわけです。
下の写真は、ノ社と共同でその臨床研究をした、京都府立医大の責任者が陳謝しているところです。

注 : この事件について2017年3月に東京地裁で無罪判決が出ました。データねつ造はあったが、学術論文発表は広告宣伝に当たらず、薬事法に違反しないので無罪、という判決で、厚労省も唖然としています。

140は心配ご無用
しかし、医療界のこのようなやり方に、正面から異を唱える医者もいます。東海大学医学部の大櫛陽一教授は以下のように、血圧が140mmHgでも何の心配もなく、基準値の引き下げには医学的根拠は何もなく、基準値の引き下げは、患者を増やして医療業界がもうけるための、魔法の杖になっていると、はっきりと言っています。

また、長年にわたって患者の血圧を下げることに一生懸命だった、医師の松本光正氏は、いくら血圧を下げても患者がちっとも健康にならないことに気づき、血圧を下げてもダメ、いや下げたらダメなのだと気づいて、「高血圧はほっとくのが一番」という本を書いています。

人間ドック学会+健保組合の反乱
2014年4月NHKテレビが、これまでの高血圧基準値が間違いだったと報道しました。

健保組合が人間ドック学会と共同で、数万例の人間ドックのデータを解析したところ、血圧が147でも何ともないことが分かった、と発表したのです。
このTV画面で驚くのは、現在の正常値が129以下だと書いてあるところです。目標値だったものがいつのまにか基準値として大手を振ってまかり通っているのです。
その後、サラリーマン向けの雑誌などでも「健康診断のウソ」などと題して大々的に報じられました。

これは健保組合の反乱と言ってもよい出来事です。健保組合はこれまで、医療側の言いなりにお金を支払ってきました。その結果どの健保組合も赤字で、それで組合員が健康になるならなら健保組合も役目を果たしていることになりますが、どうもそうでもないようだ、むしろ健康に害があるのではないか、と疑うようになって独自の調査をしたわけです。
しかし残念ながらこの反乱も、医療側からの大反撃にあって、3年後の今はもう無かったようなことになっています。

健康食品なら良いわけではない
ペプチドというタンパク質を摂取すると、血圧が低下するという実績があり、胡麻ペプチドが入った飲料とか、カツオペプチドが入った粒とかさまざまなものが、血圧を下げる健康食品として販売されています。
しかしその作動原理は、脳からの指令をブロックすることにあります。ペプチドという物質には「アンジオテンシンの働きを阻害する」性質があり、血圧が上がらなくなるのです。つまり、血圧を上げる必要性がなくなって自然に血圧が下がるのではなく、血圧を上げる必要性はそのままで、ただ血圧を下げてしまうわけです。ですから血が行かなくなるわけです。

このように、薬ではなく健康食品なら良いのかというと、そういうことではありません。血圧は人為的にむやみに下げてはいけないのです。

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